海原への道(成績)

母の自殺未遂以降、私はどうしたらいいのか、何をしたら母に笑顔が戻るのかいつも考えていた。

私ができることで、母を笑顔にできることはいったい何だろう・・・・

そうだ、勉強していい成績を取ることだ。

100点を取ればきっと前みたいに喜んで、褒めてくれる。

100点を取ることを目標に、勉強を頑張った。

いつも100点ということではないが、100点のテストを母に見せると喜んでくれた。

95点でもクラスで一番だった時に母に見せると、

「なんで95点なの?どこを間違ったの?」

「・・うん・・でも、クラスで1番だったよ」

「でも、100点ではないでしょ?間違ったところは、二度と間違わないように見直しをするのよ」

「うん、わかった・・・」

それからもテストで100点を取れるように頑張った。

でも、だんだん100点をとっても褒められることがなくなっていった。

100点を取るのはあたりまえ、90点以下はもってのほか!!

ある時88点のテストを持っていったら、

「どうしたの?何をさぼっているの?こんな点を取るなんてありえない!!」

一生懸命勉強をしても、母を笑顔にすることはできない。テストで悪い点を取れば怒られるだけ・・・

でも、その時の私にできることと、考え付くことはいい点を取ることしかなかった。

もっとがんばろう!!

学校から帰るとドリルや問題集で勉強、週に3日の学習塾、それでも足りないときは、新しい参考書や問題集が欲しいと言えばいくらでも買ってくれた。

頑張って勉強して、スポーツも頑張って、ある時通信簿がオール5だった。

やった!!これでママも喜んでくれる!!

急いで帰って、その通信簿を見せると、

急に怖い顔になって、そのまま母は学校に行ってしまった。

え?なに?なんか悪いこと書いてあったのかな?

しばらくして母が帰ってきて私に

「先生に抗議してきたのよ!」

え?なにを?

「うちの娘をひいきしないでください。こんな成績取れるはずがありません。甘やかさないでください。」

って言ってきたのよ。という母

母が言っている意味が分からず、ただ私は、頑張った自分が全否定された気持ちになり、心が押しつぶされそうに重くなった。

もう何をしたらいいかわからない・・・

次の日、学校に行くと先生に職員室に呼ばれて、

「昨日ね、お母さんが学校にきて、家の娘はこんなに勉強はできません。ひいきしないでくださいって言われたけど、娘さんは本当に頑張っていて、ひいきでつけた成績ではありません。っていったのよ。

成績が悪くて文句言ってくる人はいるけど、成績がよくて文句言われたのは初めてだよ」と笑って言われた。

私は作り笑顔を浮かべて、何とも言えない気持ちになった。

私もその時は、どうしたらいいのか自分のことさえ分からなくなっていた。

まして、なんで母がそんな言動をするのかなんてわかるはずもなかった。

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