赤い金魚(心の穴)

母が入院して、しばらくたった。

退院して、帰ってくるのを待っていたが、家に帰らず小さな弟をつれて、実家に帰ってしまった。

しばらく私だけ、家から学校に通っていた。

ある日、学校から帰えって、

いつものように、「ただいま~」というと

「は~い」という母の声

帰ってきたんだっ!!

嬉しかった。飛び跳ねるように家の中に入った。

「ママ~っ ママ~っ どこ? どこにいるの?」

返事はなく シーンとしている・・・

えっ?いないの?

もう一度大きな声で

「ママ~っ」と叫ぶと、

「は~い」応接間のほうから聞こえる。

あわてて行ってみると、姿は見えない。

えっ?どうして?

もう一度、叫んでみる

「ママ~っ」

「は~い」・・・・答えていたのはオウムだった。

・・・うそでしょ・・・・

全身の力が抜けていった。

それから、寂しさを紛らわすように、私は毎月のお小遣いや、お年玉をためていた貯金箱から持ち出し、デパートの上にあるゲームセンターに行くようになった。

毎日、学校から帰ると塾もいかず、遊んでた。

自分のお金が無くなると、父のお財布からお金を抜き出し遊びに行っていた。

一人で遊ぶのがつまらなくなると、同じクラスのいじめられっ子を誘い、遊びに行くようになった。

その子はいつも変なにおいがした。お家が貧乏なのかいつも同じような洋服を着ていた。

私がその子を誘う理由は、私は学校ではいい子を演じていたため、もし何かあってもいじめの対象の子の言葉より、私の言葉を信じるだろうとずる賢く思っていたのだ。

そして私がだしたお金で、彼女がゲームをしたり、ジュースやお菓子を食べて嬉しそうな顔をしているのを見ると なんだか自分が偉くなった気がして気分がよかったのだ。

でも、家にに帰ると、寂しさとむなしさで心がいっぱいになっていた。

寂しさを埋めるように、お金を使っていたのに、心の穴は毎日大きく広がっていた。

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