母の私への期待が大きく、どんどん教育ママとなっていった。
学校から家に帰り、友達が遊びに来ると勉強中だからと追い返していた。
それでも母の期待を裏切りたくない私は、机に向かい勉強をしていた。
テストでいつも100点を取ることを目指していた。
3歳から始めたピアノも、毎日練習をしていた。
週に1回、叔父が教えるピアノ教室に通っていた。
叔父は優しくピアノを教えてくれた。
叔父には私より2つ年上の娘さんと、同い年の息子さんがいて、レッスンが終わるとみんなで楽しく遊んだりしていたので、ピアノのレッスンに行くのが楽しみだった。
でも、そんなぬるま湯のようなレッスンに、母は成長がみられないと判断し、女性のピアノの先生を探しそちらに通うようになった。
その先生はとても厳しく、練習不足で行くとヒステリーをおこしたり、私の手をはたいたりする人だった。
手を叩かれると痛いし、怒られると間違えないようにとますます緊張して、間違えてしまう・・・
だからこそ私は、叩かれないように、怒られないように練習を重ねてレッスンに通ってた。
でも、家で練習していると、母がそばにきて、何度も同じところを間違えると、イライラするのか、手をはたかれるようになった。
ピアノの椅子に座ると、ビクビクするようになっていった。
楽しかったピアノが、怖くて段々練習をしても指が動かなくなっていった。
そして、レッスンをずる休みするようになっていった。
公園や、デパートに行って時間をつ時間になると、ばれてないかドキドキしながら家にそっと入った。
その日はばれずに済んだため、次のレッスンも同じように休んだ。
ばれないはずはなく、2週間後に先生から連絡が母に入って、
「レッスンに行かないで、どこに行ってたの?!」
すごく怖い顔で怒られた。
私は、先生のことを言っても、同じように叩く母にはわかってくれないと思っていた。
ただ黙っていると、母の怒りのボルテージは上がっていき、私をはたこうとと手を振り上げた。
歯を食いしばって叩かれた後、
「なんでみんなこうやって叩くの?
ピアノが好きだっただけなのに、もうピアノなんか弾かない!ピアノはきらい」と大声で泣いた。
はっと我に返った顔をした母だった。
そのあと、母に先生のレッスンでのことを言ったら、色々調べたらヒステリーで有名な先生だったらしかった。
その日を最後に、母がピアノのレッスンを無理強いすることがなくなったと同時に、私がピアノを弾くこともなくなった。
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